普段の様子から「うちの子どもは変わってる?」とお悩みではないでしょうか。
子どもの成長スピードや個性は、それぞれ違うものです。
しかしもしかすると、発達障害の1つであるアスペルガー症候群の可能性もゼロではありません。
そこで今回は、アスペルガー症候群の特徴や、その疑いがあるときに親がやるべきことについて紹介します。
1人で悩まずに、まずはアスペルガー症候群について詳しく知ることからはじめましょう。
目次
1.アスペルガー症候群とは?

アスペルガー症候群は発達障害の1つで、近年は「ASD(自閉症スペクトラム)」と呼ばれています。
知的発達や言語発達の遅れはなく、コミュニケーションや対人関係の問題、興味の偏りや強いこだわりをもっているのが特徴です。
発症する原因は遺伝要因と環境要因の相互作用といわれていますが、不明な点も多く詳しくわかっていません。
しかし、めずらしい障害ではないので落ち着いて向き合っていくことが重要だと言えます。
1-1.決してめずらしい障害ではない

アスペルガー症候群が障害として認知され始めたのはごく最近であり、まだ周囲の理解が進んでいない部分も多くあります。
ただし、アスペルガー症候群は決してめずらしい障害ではありません。
厚生労働省の資料によると、約4,000人に1人が発症しているといわれています。
また、本人や周囲の自覚がないことも多いため、実際の人数はもっと多いと考えられるでしょう。
1-2.子ども自身も生きづらさを抱えている

アスペルガー症候群は気づきにくい障害のため、きちんとしたサポートを受けられないことがあります。
そのため、人と違うことで悩んだり、誤解を受け孤立したりといった生きづらさを抱えている子どもがとても多いです。
さらに、こうしたストレスから頭痛や腹痛などの身体症状、うつや不眠などの心理症状につながってしまうこともあるでしょう。
したがって、まずは子ども自身も悩んでいる可能性を考え、冷静に対処していくべきです。
以上、アスペルガー症候群がどういった障害なのかについて紹介しました。
ここからは、アスペルガー症候群の具体的な特徴について見ていきましょう。
2.アスペルガー症候群の特徴とは?

アスペルガー症候群の症状は人により違いますが、大きくわけて3つの特徴があります。
- コミュニケーションの特徴
- 対人関係の特徴
- 物事への興味やこだわりの特徴
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
特徴1.コミュニケーションの特徴

表面上の会話に問題はありませんが、言葉の裏の意味を読み取ることや曖昧な表現が苦手であるといわれています。
そのため、子どもと関わっているときになんとなく話が通じていないと感じることがあるはずです。
コミュニケーションにおける具体的な特徴には、以下のようなものがあります。
- 言葉をそのままの意味として受け取ってしまう
言葉の裏の意味を読み取れずそのまま受け取ってしまう、皮肉を言われても気づくことができません。
- あいまいな表現が苦手
「あれ」「もう少し」などのあいまいな表現が苦手なため、具体的に指示をされないと理解が難しいです。
- 表情や話し方から相手の気持ちを読み取れない
相手の表情から気持ちを読み取るのがむずかしく、身振り手振りといった言外のコミュニケーションが苦手です。
特徴2.対人関係の特徴

他者への関心が薄いために、空気を読むことや相手の気持ちを察することが苦手といった対人関係における特徴もあります。
また、そうした振る舞いから自己中心的であると周囲に思われてしまうこともあるでしょう。
対人関係における具体的な特徴には、以下のようなものがあります。
- 大勢の中で浮いてしまう
空気を読むことが苦手なため、その場にふさわしくない発言や行動をしてしまい大勢の中で浮いてしまいがちです。
- 自己中心的だと周囲に思われてしまう
自分の行動が相手や周囲にどんな影響を与えるか想像するのが苦手で、自己中心的な行動をしてしまいやすいです。
- 悪意なく相手を傷つけてしまう
思ったことをストレートに発言してしまうため、悪意なく相手を傷つけてしまうことがよくあります。
特徴3.物事への興味やこだわりの特徴

物事への興味の偏りや、こだわりが強いという点も特徴の1つです。
自分の興味があることに対しては、人並み以上に記憶力が高く集中力もあります。
一方、こだわりが強く「要領が悪い」「融通がきかない」と周囲に思われてしまうことも少なくありません。
物事への興味やこだわりにおける具体的な特徴には、以下のようなものがあります。
- 興味があることに対しては記憶力が高く集中力がある
興味があることに対しては膨大な情報を記憶でき、他のことが目に入らないほど集中することが珍しくありません。
- ルールに対して忠実
決まりや手順といったルールを忠実に守る、直前の予定変更などに対応できないということが多いです。
- 同じ動作を何度も繰り返す
身体を前後に揺らしたり、くるくる回ったりといった行動を繰り返すことがあります。
以上、アスペルガー症候群の特徴について紹介しました。
これらに自分の子どもが当てはまっている場合、親はどうすれば良いのかお悩みのはずです。
そこで、ここからはアスペルガー症候群の疑いがあるときに親がやるべきことを考えていきましょう。
3.アスペルガー症候群の疑いがあるときに親がやることは?

アスペルガー症候群をはじめとした発達障害は、個々の特性に合わせたサポートが必要です。
適切なサポートを早めに受けるためにも、親がやるべきことをしっかり押さえておきましょう。
まずは、専門機関に相談をし、もしも診断されたならていねいにサポートをしていくのが良いです。
3ー1.まずは専門機関に相談を

自分の子どもがアスペルガー症候群ではないかと感じたら、専門機関に相談をすることが第一です。
相談ができる窓口は、小児科や小児精神科、発達障害の専門外来を設けている医療機関などがあります。
また、2014年に交付された「発達障害者支援法」により行政の福祉サービスを受けることが可能です。
その代表的な機関が、各都道府県や指定都市が実施している発達障害者支援センター。
発達障害者支援センターでは、主に発達支援と相談支援、必要に応じて医療機関への紹介も行っています。
さらに、発達障害者支援センター以外にも相談窓口があるので確認しておきましょう。
- 子育て支援センター
- 市町村保健センター
- 児童相談所
相談をする際に、子どもの生育歴や病歴のメモ、母子手帳、育児日記などを持参すると状況を伝えやすいです。
小学生以上であれば通知表も持参すると、お子さんの様子を相談員へスムーズに伝えることができます。
不安なことがあれば、各自治体の専門機関へ気軽に相談してみてください。
3ー2.アスペルガー症候群と診断を受けたら

アスペルガー症候群と診断を受けたら、はじめは「信じたくない」「何かの間違いだ」という気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、日常生活での困難を解消するためには、子どもの特性に合わせたサポートや治療が必要不可欠です。
具体的なサポートや治療は大きくわけて2つの方法があります。
- 療育(治療教育)
- 投薬治療
療育(治療教育)はそれぞれの子どもの特性に合わせ、得意なことを伸ばし困りごとを減らすための教育プログラムです。
教育プログラムは、個々の症状や特性に合わせた心理療法や言語療法、作業療法を行います。
少ないケースではありますが、症状によって投薬治療を行うこともあるでしょう。
投薬治療は障害を根本的に治すものではなく、障害に伴う症状の緩和を目的として行います。
まとめ
アスペルガー症候群とは発達障害の1つで、近年は「ASD(自閉症スペクトラム)」と呼ばれています。
お子さんの発達について心配だったり気になっていたりすることがあれば、まずは専門機関に相談することが大切です。
診断を受けることで、お子さんが適切なサポートを受けることができ、親としての心構えも学ぶことができます。
1人で悩まずに、専門機関や周囲の力を借りながらお子さんをサポートしていきましょう。
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