「自分や家族がアスペルガー症候群ではないかと指摘された。。」というような悩みを抱えてはいないでしょうか。
このような悩みを解消するためには、アスペルガー症候群とはどんなものなのか知っておくことが大切です。
その上で、アスペルガー症候群の人に適した環境づくりを行えば、生きづらさを軽減させることができます。
今回は、アスペルガー症候群についてやその対策を解説します。
アスペルガー症候群の対策を知って、過ごしやすい環境をつくっていきましょう。
目次
1. アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは、「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「パターン化した趣味・活動」の3つの特徴を持っている発達障害です。
しかしながら、その症状には言葉の発達の遅れや知的発達の遅れなどはありません。
アスペルガー症候群は、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、過ごす環境や周囲との関わりのミスマッチによって、社会生活に困難が発生する障害です。
その発生率は約4000人に1人程度であるといわれています。
それでは、アスペルガー症候群の具体的な症状について確認しておきましょう。
1−1. アスペルガー症候群の症状

アスペルガー症候群には、以下の3つの症状があります。
- 社会性の障害
- 言語コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
これら3つの症状のあらわれかたには、個人差があるといわれています。
しかし共通しているのは、これらはすべて「行動にまつわる障害」であるということです。
外見からは障害があることがわからないために、周囲からは「変わった人」という誤解を受けやすい傾向にあります。
それでは、これら3つの障害を順番に確認しておきましょう。
社会性の障害
アスペルガー症候群の人は、人間関係において困難が生じることがあります。
なぜなら、相手の気持ちを想像したり、場の空気などの「暗黙の社会的ルール」を理解することが苦手であるためです。
また、感情を表現することや、発言や行動が他人に与える印象を想像することが苦手である傾向があります。
このため、率直すぎる発言をしてしまうことが多いです。
したがって、周囲からは「無神経な人」であると思われたり、「常識の無い人」であると誤解されやすいですが、本人には悪意はありません。
そのため、アスペルガー症候群の人は、孤独感や疎外感を抱いてしまうのです。
言語コミュニケーションの障害
アスペルガー症候群の人は、言葉の使い方が独特な傾向があり、他人とのスムーズな意思疎通が苦手な場合があります。
文脈や言外に含まれる意図を読み取ることが苦手で、相手の発言を文字通りに受け取ってしまいがちです。
さらに、耳から入ってくる情報の処理が苦手なために、会話についていけなくなることもあります。
想像力の障害
アスペルガー症候群の人は、決められた手順やスケジュールに強いこだわりを持つ傾向にあります。
そのため、新しい人や予想外の事態への臨機応変な対応が苦手な場合が多いです。
また、物事の1部分にこだわってしまい、全体像を把握することも苦手だと言われています。
対人関係の困難さもあり、人付き合いを極力避けて1人で自分の好きなことに没頭することを好む人も少なくありません。
次は、アスペルガー症候群の人が苦手なことついて確認しておきましょう。
1−2. アスペルガー症候群の人が苦手なこと

アスペルガー症候群の人が苦手とすることは、以下のようなものがあります。
- 社会性の障害からくるもの
- 言語コミュニケーションの障害からくるもの
- 想像力の障害からくるもの
それぞれ、順番に確認しておきましょう。
社会性の障害からくるもの
アスペルガー症候群の人は、人付き合いが苦手な傾向にあります。
例えば、他人と仲良くなろうと努力してもトラブルになってしまったり、「変わった人」と思われてしまいがちです。
そのために、自信をなくしていまい、人付き合いを避けるようになってしまう場合も少なくありません。
言語コミュニケーションの障害からくるもの
アスペルガー症候群の人は、会話での微妙なニュアンスを理解することが苦手な傾向にあります。
例えば、会話がギクシャクしてしまったり、お世辞や社交辞令を言葉通りに受け取ってしまいがちです。
その結果、気まずい雰囲気を作り出してしまうこともよくあります。
想像力の障害からくるもの
アスペルガー症候群の人は、自分の考え方や進め方を変えることが苦手な傾向にあります。
なぜならば、ルールや好きなことに強いこだわりを持っているためです。
このことが原因で、他人とギクシャクしてしまうことが頻繁にあります。
ここまで、アスペルガー症候群の人が苦手なことについて確認しました。
次は、日常生活や仕事で起こりうるトラブルを見ていきましょう。
2.アスペルガー症候群によって日常生活や仕事で起こるトラブル

アスペルガー症候群の障害によって引き起こされるトラブルは、以下の3つに分けることができます。
- 言語コミュニケーションの障害からくるトラブル
- 想像力の欠如からくるトラブル
- 感覚の敏感性からくるトラブル
それぞれ、順番に確認しておきましょう。
2−1.言語コミュニケーションの障害からくるトラブル
アスペルガー症候群の人は、言語コミュニケーションの障害から、生活の様々な場面で困難につながることがあります。
例えば、上司の指示が理解できなかったり、相手が怒っていることに気づかなかったり、自分の話が難しすぎて相手に理解されにくいなどのトラブルが発生するでしょう。
こうしてトラブルが重なっていくと、やがて人間関係にも影響が出ます。
トラブルを解消するのに役立つのが、上司の指示は復唱する癖をつけたり、メールやメモといった文字による連絡方法を多用するといった方法です。
2−2.想像力の欠如からくるトラブル
アスペルガー症候群の人は、想像力の欠如から、予定外の仕事が入ると混乱してしまいがちです。
また、仕事の進め方にこだわることで、周囲の人とトラブルになったりすることがあります。
このようなトラブルを解消するのに役立つのが、普段からゆとりを持って仕事を進める癖をつける方法です。
2−3.感覚の敏感性からくるトラブル
アスペルガー症候群の人は、感覚の敏感性から、電話の音やBGMを耳障りに感じたり、照明を眩しく感じて仕事に集中できないことがあります。
このようなトラブルを解消するのに役立つのが、耳栓やイヤーマフを使う方法です。
さらに可能であれば、自然光が入る窓側の席にしてもらうなどの配慮を依頼してみましょう。
次に、アスペルガー症候群を疑ったらどうすれば良いのか、確認しておきましょう。
3. アスペルガー症候群かなと思ったら

アスペルガー症候群を疑っていて、誰かに相談したいとき、以下の2つの方法があります。
- 福祉機関に相談する
- 病院の受診する
それぞれ、順番に確認しておきましょう。
3−1.福祉機関に相談する
悩んだら、まず福祉機関に相談してみると良いでしょう。
代表的な福祉機関は、各都道府県や政令市に設置されている「発達障害者支援センター」です。
このセンターは、発達障害を持つ人への総合的な支援を目的としています。
相談員が発達障害の人の生活や医療や就労などについての助言を行っているので、気楽にアドバイスをもらいに行きましょう。
3−2.病院に相談する
病院を受診して診断・治療を希望するとき、精神科や心療内科を受診することになります。
しかしながら、発達障害を扱う医療機関は限られているのが現状です。
発達障害を扱わない医療機関を受診すると、他の精神疾患を誤診されてしまうおそれがあります。
発達障害の専門医を見つけるのが難しい場合は、「発達障害者支援センター」に相談して、専門医を紹介してもらうと良いでしょう。
4. 家族や恋人がアスペルガー症候群になったら

家族や恋人がアスペルガー症候群になったら、以下のような対応を心がけるようにしましょう。
- 特性について理解しておく
- 感情的にならず話し合う
- 生活上の具体的なルールを決めておく
- カウンセリングや家族療法を受ける
それぞれ、順番に確認しておきましょう。
4−1.特性について理解しておく
アスペルガー症候群の人が精神的に安定した生活を送るためには、最も身近な人間の理解と支援が必要不可欠です。
身近な人の対応が悪ければ、症状により悩まされてしまいます。
そのために、家族全員でアスペルガー症候群の症状や特性についての理解を共有しておきましょう。
4−2.感情的にならず話し合う
日常生活を送る中で、アスペルガー症候群の家族に対して不満を持ってしまうことは少なくありません。
しかしながら、アスペルガー症候群の人に対して感情的になっても逆効果です。
したがって、アスペルガー症候群の人に対して改善してほしいことがある場合には、小さなことでも話しあい、一緒に解決していく姿勢が重要となります。
4−3.生活上の具体的なルールを決めておく
生活する上で分かりきった普通のことだとしても、アスペルガー症候群の人には思いつかないことがあります。
そのために、生活上の具体的なルールや役割分担をはっきりと決めておきましょう。
そうすれば、日常生活での摩擦や混乱を防ぐことに役立ちます。
4−4.カウンセリングや家族療法を受ける
自分たちで解決することが難しい問題に直面した場合、家族やカップルで家族療法を受けることが有効な場合があります。
家族療法の目的は、カウンセラーなど第三者の視点から状況を客観的に整理して、妥協点を探しだし、みんなにとって心地よい環境を作っていくことです。
カウンセリングや家族療法は、精神科や心療内科で受けることができます。
それでは次に、アスペルガー症候群の簡易診断テストをご紹介します。
5. アスペルガー症候群の簡易診断テスト

アスペルガー症候群の簡易診断テストは以下の通りです。
半分以上の項目に当てはまると、アスペルガー症候群の疑いがあるといわれています。
あまり深く考えずに、それぞれの項目をチェックしてみてください。
- 何かをするときは1人でやる方が好きだ
- 同じ方法を何度も繰り返し用いることが好きだ
- 何かを想像するとき、イメージを思い浮かべるのが得意だ
- 自分では丁寧に話したつもりでもわかりにくいと言われることがある
- 他のことが全く気にならないくらい、何かに没頭してしまうことがある
- 他の人が気がつかないような小さな物音に気がつくことがある
- 車のナンバーのような特に意味のない情報に注目することが多い
- 相手の顔を見ても、その人が考えていることや感じていることがわからない
- 他の人の考えを理解することが苦手だ
どれだけの項目が当てはまったでしょうか。
チェックリストで多く当てはまっていても、現在までの生活で不自由を感じていなければ特に問題はありません。
もし不安であれば、「発達障害者支援センター」に相談してみると良いでしょう。
次は、アスペルガー症候群になる原因をみていきましょう。
6. アスペルガー症候群になる原因

アスペルガー症候群の原因は、まだはっきりとは解明されていません。
現在の仮説では、遺伝子と何らかの外的要因が加わった場合にアスペルガー症候群が起こるといわれています。
しかし、まだ確定的な情報ではないのです。
それでは、アスペルガー症候群の治療法にはどんなものがあるのか確認しておきましょう。
7. アスペルガー症候群の治療法は?

アスペルガー症候群の根本的な治療法は、まだ存在しないのが現状です。
つまり、投薬などの治療技術はまだ確率されていません。
そのために、アスペルガー症候群の治療は「環境調整」やカウンセリングが中心となっています。
「環境調整」とは、アスペルガー症候群の症状を本人と周囲の人間に理解してもらうものです。
本人が日常生活を過ごしやすくするための工夫をおこなう対処方法を言います。
工夫をしながら、症状と上手く付き合っていきましょう。
実は、有名人にも多数、アスペルガー症候群の人はいます。
8. アスペルガー症候群の有名人

アスペルガー症候群であるとされている代表的な有名人は以下の通りです。
- アインシュタイン
- トーマス・エジソン
- ビル・ゲイツ
- スーザンボイル
アスペルガー症候群には、一般人には及ばないレベルの知識・集中力・こだわりを発揮するという特性があります。
そのため、特性を活かすことで、世界で注目を集める活躍ができる場合も少なくありません。
まとめ
アスペルガー症候群とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさと、過ごす環境や周囲との関わりのミスマッチによって、社会生活に困難が発生する障害です。
アスペルガー症候群は、特性を才能として活かせる環境を作ることで、生きづらさを軽減できます。
アスペルガー症候群の人が過ごしやすい環境を作っていきましょう。
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