「高い高い」は危険だからやらない方がいいよ!という意見を耳にしたことはありませんか?
確かに激しく「高い高い」をすると、揺さぶられっ子症候群になってしまう可能性があります。
揺さぶられっ子症候群は脳に激しく損傷を受けるので、後遺症が残ってしまいかねません。
しかし正しく理解して「高い高い」をすれば、親子のスキンシップに一役買ってくれるあやし方でもあるのです。
今回は正しい「高い高い」のやり方を理解して、スキンシップを楽しみましょう。
目次
1.「高い高い」はいつからしていいの?

「高い高い」は首がしっかり座った頃にしましょう。
早い子は3ヶ月ほどで首が座り始めますが、半年を過ぎてからの方が良いでしょう。
それでもまだ赤ちゃんの頭は大きく不安定です。
「高い高い」をするときは、しっかり頭とお尻を手で支えてやってください。
どんな風に「高い高い」をする?

まず赤ちゃんに「今から高い高いやるよ」と声掛けをしてください。
赤ちゃんを親の顔の付近まで持ち上げ、顔で赤ちゃんのお腹をくすぐってみると、赤ちゃんは喜びます。
この時期はその程度の「高い高い」をするので十分です。
まだ勢いよくやる必要はありません。
不安な人は、赤ちゃんが1歳になってから「高い高い」をやるのでも良いですよ。
1歳児の「高い高い」も激しくやる必要はありません。
せいぜい頭上に掲げる程度にしておきましょう。
首が座らないうちから「高い高い」をするのは絶対に止めましょう。
なぜなら、揺さぶられっ子症候群になる可能性があるからです。
「高い高い」によって発症する揺さぶられっ子症候群について次の章で詳しく確認していきましょう。
2. 揺さぶられっ子症候群とは

揺さぶられっ子症候群とは、強く揺さぶられて、目立った外傷はないのに脳に損傷を受けた状態のことを指します。
新生児や乳児の頭はまだ未熟で、脳と頭蓋骨の間に隙間があり脳が動きやすい状態です。
首の筋肉もまだ未発達なため、上手に頭を支えることができません。
そのため強く揺さぶられると、脳が衝撃を受けやすくなっています。
強く揺さぶられた衝撃で、赤ちゃんの頭はくも膜下出血など生死に関わるような状況になるのです。
重篤な症状の場合、運動機能の障害や精神が不安定になるなどの後遺症が出てくる可能性があり、将来に大きな影響を与えかねません。
また、あまりにも衝撃が酷いと死に至るケースも。
具体的にどのような症状が出るのか確認していきましょう。
2-1.揺さぶられっ子症候群の症状

揺さぶられっ子症候群の症状としては、以下の5つです。
- ミルクや母乳を飲もうとしない
- 嘔吐
- 無表情(笑わない)
- 痙攣を起こしている
- 普段よりも長時間眠り続けている
このような症状が見受けられた場合には、早急に近くの小児医療センターや医療機関に連れていきましょう。
2-2.揺さぶられっ子症候群が起きるケース

基本的に揺さぶられっ子症候群は、激しく揺らすことで発症します。
具体的には以下のようなときに発症するので覚えておきましょう。
- 赤ちゃんの頭が2秒間の間に5回以上揺れている
- 赤ちゃんの身体を20分以上も揺らしている
この数字を見ると、かなり激しい動きを赤ちゃんに加えているのが分かりますね。
実際にプレママ教室で、どのくらいの強さで揺らすと発症するのかを実演している所を見た人からは、想像以上に揺さぶっていたとの感想も出てきました。
しかし月齢に合っていないチャイルドシートを使用し、長時間車で移動し続けた際にも、揺さぶられっ子症候群の報告がされています。
車のような揺れでも頭を固定できていないようなチャイルドシートでは、症状が出る可能性があるので気を付けましょう。
しかし「高い高い」にはメリットもあるのです。
「高い高い」のメリットを次の章で確認しましょう。
3.「高い高い」をする3つのメリット

「高い高い」も激しくやれば脳に損傷を与えるおそれがあり危険です。
しかし適切に「高い高い」をすれば、上手に赤ちゃんとの関係を築けるでしょう。
「高い高い」をするメリットは以下の3つです。
- バランス感覚を養う
- 刺激になる
- スキンシップがとれる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
メリット1.「高い高い」はバランス感覚を養う

「高い高い」は赤ちゃんが持ち上げられている時は不安定な状態ですが、実は赤ちゃんの方も無意識のうちにバランスをとっていると言われています。
「高い高い」は赤ちゃんのバランス感覚を養う練習にもなっているのです。
また大きくなってくると、ブランコのように勢いをつけた「高い高い」をするようになりますが、子供も親の動きに合わせて上手くバランスを取るようになってきます。
普段しないような動きもするので、「高い高い」はバランス感覚を養うにはぴったりでしょう。
メリット2.「高い高い」は刺激になる

赤ちゃんの時期の「高い高い」は、普段床に寝そべっている赤ちゃんの視界が突然、親の視界にまで上がったことになります。
今まで見ていた景色とは違う景色が視界に入ることで、大きな刺激になっていることでしょう。
様々な視覚の刺激を脳に伝える役目も「高い高い」は担っているのです。
メリット3.「高い高い」でスキンシップがとれる

「高い高い」は親が赤ちゃんの目を見ながら、親よりも視線が高いところへ赤ちゃんを持ち上げます。
普段は赤ちゃんが親のことを見上げているので、親が赤ちゃんのことを見上げるのは「高い高い」のタイミングくらいでしょう。
不安定なところに持ち上げられても、しっかり安全なところまで戻してくれるという、親と子の信頼関係が築けるスキンシップでもあります。
自己肯定感が高い子は、親子間での十分な信頼関係で形成されているという事実はご存知ですか?
自己肯定感が高い子は失敗も恐れずに前向きに生きていく力が強いとされており、人間関係も上手く築けると言われています。
この信頼関係が大きいかどうかで自己肯定感の大きさも変化すると考えられているので、スキンシップは重要なコミュニケーションと言えるでしょう。
スキンシップは「高い高い」だけではありませんが、深い愛情を示す方法の一つとして「高い高い」は有効です。
4.揺さぶられっこ症候群にならないために普段から気を付けること

「高い高い」はやり方によっては、良い影響もあることが分かりました。
しかし怖いのは知らないうちに、揺さぶられっ子症候群が発症するようなことをしていることです。
ここからは揺さぶられっ子症候群にならないために、気を付ける注意点3つを見ていきましょう。
注意点1.怖がる素振りがあるときはやらない

当たり前のことですが、「高い高い」を喜ぶかどうかは個人差が大きいです。
また親が思っている以上に強い衝撃がかかっている恐れもあります。
引きつった顔になっていたり、怖がる素振りがあるときは控えましょう。
注意点2.笑っていても長時間しない

揺さぶられっ子症候群は長時間の揺れでも発症することが判明しています。
自己主張が上手く言葉で出来ない時期は、恐怖が笑顔となって出ている場合もあるそうです。
しかし親である私たちには判断がつきませんね。
そのため、しつこく「高い高い」をするのは避けてください。
また昼間に興奮を与えすぎると寝つきが悪くなったり、夜泣きの原因にもなるので、長時間の「高い高い」は控えましょう。
注意点3.放り投げは別の危険性がある

1歳になったばかりの子も、放り投げる「高い高い」は揺さぶられっ子症候群の危険があるので控えましょう。
しかし2歳近くにもなると、ダイナミックな「高い高い」を求めるようになってきます。
また親の方も、子供の体重で勢いに任せた「高い高い」の方が身体的にもラクになってきて、ついやりがちです。
しかし勢いよく放り投げて上手く受け止めきれなかったときは、子供を2メートル近くの高さからから落とすことになることを頭の片隅に入れておいてください。
子供が喜ぶからといって、あまりにも勢いよく放り投げるのは危険ですので控えましょう。
まとめ
「高い高い」は首がしっかり座り始めた6ヶ月過ぎからやり始めるのがおすすめです。
月齢を無視した「高い高い」は絶対にすべきではありません。
たまに配偶者や祖父母が月齢を無視した「高い高い」をやっている時がありますが、その時はやめてもらうよう伝えるべきです。
しかし月齢に合わせた「高い高い」をすれば、揺さぶられっ子症候群の心配の心配はほとんどないでしょう。
またチャイルドシートやベビーカーも正しく使用していれば揺さぶられっ子症候群になることはありません。
むしろ親子とのスキンシップや、赤ちゃんの身体能力に対しての刺激になるので「高い高い」に対して神経質になり過ぎるのは勿体ないです。
今しかない赤ちゃんの期間を、親も赤ちゃんも楽しんで関わっていってくださいね。
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